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明文改憲の分岐点となる参議院選挙において争点隠しを許さず、
改憲阻止のために全力を尽くす決議
 2016年7月10日に参議院選挙が行われる。多くの政治的な課題が山積する中、今回の選挙の見過ごすことのできない重要な争点として、明文改憲問題がある。

 安倍晋三首相は自民党総裁任期(2018年9月)中の改憲を目指すと繰り返し述べており、今回の参議院選挙についても、「改憲発議に必要な3分の2以上の議席を改憲勢力で目指す」と主張してきた。現在、衆議院では与党をはじめとする改憲勢力が3分の2を占めていることから、参議院でも改憲勢力が3分の2を占めれば、改憲発議が可能となる。

 ところが、参議院選挙直前になって、安倍首相は、参議院選挙の最大の争点は経済政策「アベノミクス」への評価と消費増税の延期の是非であると強調し、改憲問題に触れることを避けている。

 こうした「争点隠し」は、国民を欺くものであって決して許されない。安倍首相は、2013年7月の参議院選挙では景気回復・経済問題が最大の争点だと述べたが、選挙が終わると、選挙公約集にはほとんど言及のなかった秘密保護法の制定や集団的自衛権の行使容認を強行した。さらに、2014年12月の衆議院選挙でも消費増税を延期し最大の争点は「アベノミクス」への評価だと主張したが、選挙が終わると戦争法(安保法制)を国民世論の大反対を押し切って強行「採決」した。こうした「前歴」からすれば、今回の参議院選挙でも争点隠しを行い、参議院でも改憲勢力で議席の3分の2を握った後は、一気に憲法改正の発議に動き出すことは明らかであろう。

 そもそも憲法が普通選挙権を規定し(15条3項)、投票価値の平等を含む平等選挙を規定している(14条1項)のは、投票によって示される国民の意思を可能な限り正確に国会に反映するためである。したがって、各候補者・各政党には、選挙に際して国民に争点を明示し、これに対する意見を表明することが求められる。仮に選挙において争点隠しが許されるのであれば、国会の構成は歪められ、国民主権原理、議会制民主主義の破壊につながる。私たちは、安倍首相による3度目の争点隠しを許すわけにはいかない。

 安倍首相は、具体的な改憲の内容について、災害時の国への権限集中や私権の制限を盛り込んだ「緊急事態条項」の創設を取り上げている。これは比較的世論の反対を受けにくいものだとされているためである。しかし、当部会が本年3月の決議で指摘しているとおり、かかる条項の創設は国民生活を根本から破壊するものであって容認できない。そして、安倍首相がその先に目指すのは、戦争の放棄、交戦権の否認、軍隊の不保持など徹底した平和主義を掲げた憲法9条の改定である。また、2012年4月に発表された自民党「日本国憲法改正草案」に表れているとおり、国家権力を憲法で縛るという立憲主義の考え方そのものの否定である。

 いま多くの国民は明文改憲に反対の声を挙げている。世論調査でも、憲法を「変える必要はない」は55%(昨年48%)で、「変える必要がある」は37%(昨年43%)を上回っている。とくに憲法9条については、「変えない方がよい」は68%(昨年63%)で、「変える方がよい」27%(昨年29%)を大きく上回った(朝日新聞5月3日調査)。こうした市民の支援を背景に、民進党・共産党・社民党・生活の党の4党は「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」と政策合意し、安保法制の廃止などとともに安倍政権の下での改憲を許さないとの立場で共闘することを確認している。

 きたる参議院選挙は明文改憲を許すか否かを決める大きな分岐点となる選挙である。私たち青年法律家協会弁護士学者合同部会は、与党に対し争点隠しをすることなく憲法問題について自らの立場を明らかにするよう求める。そして、当部会は、戦争法廃止と立憲主義回復、明文改憲阻止の立場の議員が多数派となるよう、持てる力を最大限発揮していくことを宣言する。
2016年6月26日
青年法律家協会弁護士学者合同部会
第 4 7 回 定 時 総 会 
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