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暴力・脅迫に屈し、会館閉鎖を行った名古屋市文化振興事業団及び
利用承認取り消しを行った共同事業体エル・プロジェクトの対応に抗議し、
表現の自由を暴力・脅迫で封殺することを許さない声明

 2021年7月6日から11日までの予定で市民ギャラリー栄(名古屋市中区)で開催されていた「私たちの表現の不自由展・その後」は、同月8日、市民ギャラリー宛に爆竹の入った郵便物が届けられたことを受けて、ギャラリーを管理・運営する名古屋市文化振興事業団が同ギャラリーが入居する建物全体を閉館する措置をとった。そのため、8日以降の表現の不自由展の開催は断念せざるをえなくなった。建物閉鎖が表現の不自由展の開催期間と同じ11日までであったことから、名古屋市文化振興事業団が、表現の不自由展を標的とした攻撃に屈して建物閉鎖という対応をとったことは明らかであった。


 また、大阪でも、同年7月16日から同月18日まで大阪府立労働センター(エルおおさか)にて「表現の不自由展かんさい」を開催する予定であったところ、開催が公表された6月中旬からエル大阪に抗議が殺到した。これを受けて、エルおおさかの指定管理者である共同事業体エル・プロジェクトは、6月25日、不自由展が開催されれば、混乱が生じ、施設利用者等の安全が確保できないとして、利用承認を取り消した。
 これに対し、主催者は、6月30日、利用承認取消処分の執行停止を求め、大阪地方裁判所に提訴した。7月9日、大阪地方裁判所第2民事部(森鍵一裁判長)は、泉佐野市民会館事件最高裁判決及び上尾市福祉会館事件最高裁判決を引用して、本件は、警察の適切な警備等によってもなお混乱を防止することができないなどの特別な事情があるとはいえないとして、執行停止の仮処分を認めた。また、大阪高等裁判所第14民事部(本多久美子裁判長)は7月15日、施設管理者の抗告を棄却し、さらに、7月16日、最高裁判所第三小法廷(宇賀克也裁判長)は特別抗告を棄却した。


 日本国憲法は憲法21条で表現の自由を保障している。また、地方自治法第244条2項は、普通地方公共団体(指定管理者を含む)は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならないと規定する。地方自治法が公の施設の利用を広く認めるのは、設置者である普通地方公共団体等の不当な利用制限が、住民に対する集会の自由や表現の自由の不当な制限につながりかねないからである。したがって、公の施設の設置管理者は、施設の管理や利用承認にあたっては、集会の自由や表現の自由を不当に侵害しないようにしなければならない。
 今回の名古屋及び大阪の事例は、主催者が、公の施設において、平穏に「表現の不自由展」を開催しようとしていたところ、開催に反対ないしは不快な念を持つ者の抗議・妨害行為に屈した施設管理者が、名古屋においては建物閉鎖、大阪においては利用承認取り消しという形で公の施設の利用をできなくしたというものである。しかし、このような対応は、日本国憲法及び地方自治法の趣旨に反し、許されない。もし、このような対応が許されるならば、気に入らない表現に対しては暴力や脅迫を用いて封殺することができることになり、日本の民主主義と人権にとって憂うべき事態である。
 大阪では、主催者、弁護士、施設管理者、警察が協力して警備を行い、「表現の不自由展かんさい」が予定通り開催された。このことは、暴力・脅迫による表現封殺行為に対しては、関係者が協力して対応することで表現の自由を守ることができることを実例で示したものである。
 青年法律家協会弁護士学者合同部会は、今回の名古屋市文化振興事業団及び共同事業体エル・プロジェクトの対応に抗議するとともに、暴力・脅迫によって表現の自由を封殺しようとするいかなる行為も許さないことを表明する。
2021年9月4日
青年法律家協会弁護士学者合同部会
第 2 回 常 任 委 員 会
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